ジョン・ヴァーリイ 『ブルー・シャンペン』
「だめ」彼女が冷静に言った。
「規則その一。むこうからたのまれないかぎり、かたわにてをかさないこと。いくら苦労していても、そのままほうっておきなさい。むこうは人にたのむことをおぼえなきゃいけないし、あなたはむこうになるべくやらせることをおぼえさせなきゃいけない」
「ぼくはいままでかたわとつきあいがなかったんだ」
「規則その二。ニガーは自分をニガーと呼んでいいし、かたわは自分をかたわと呼んでもいい。でも、五体満足な白人がどっちかの言葉を使ったら、ただじゃすまないわよ」
ジョン・ヴァーリイ 『ブルー・シャンペン』
うんとSFらしいSF、6篇が収められた短編集。
「プッシャー」
扉を飾るのは手垢のついたテーマを「ロリコンの変態おじさん」という切り口でさらっと魅せる佳品。
落ちはわかっているのに思わずにやり。
「ブルー・シャンペン」
表題作。
”黄金のジプシー”と呼ばれるハイテク外骨格を身につけることで身体の自由を取り戻した四肢麻痺患者の少女の恋物語。
これを読むだけで元は取れた!と確信する素晴らしい出来。
「タンゴ・チャーリーとフォックストロット・ロミオ」
謎の病原体に汚染されたため放棄された宇宙ステーションで発見された少女と犬たち。
困難を極める救出作戦の鍵を握るのはニュースを見た一般大衆の反応。
機械なのにいちばん人間らしいチクタクが愛しいです。
「ブラックホールとロリポップ」
ブラックホール・ハンターが太陽系辺境で狂気と直面する怖ーいお話。
読み終えた時の”宙ぶらりん感”が怖すぎてすてき。
久しぶりに読み返したけれどやっぱりよかったです。
満足満足♪