『スカイ・クロラ』
ネット上で賛否両論分かれていたのに興味を覚えて、なんとなく見に行ってみました。
押井監督の作品は一通り見てますが、
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』と『人狼 JIN-ROH』は好き。
『機動警察パトレイバー the Movie』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』はよくできてるなあとは思うけどあまり好きではない、くらいのスタンスです。
原作も未読。
でもなんかぴったりきそうな匂いがしたので劇場へ
結論:すばらしい青春映画でした。大当たり!
事前情報は一切頭に入れずに見たほうが楽しめる作品だと思うので、
未見の方は以下【ネタバレ注意】
迫力ある空戦シーン、美しい風景、で始まった後、淡々と続くドラマパート。
前半はまあ普通。
眠りこみはしなかったけれど、眠くなる人が出るのもわかるおとなしい展開。
ただ、空戦シーンや航空機に関するディテールの描写、演出がすばらしすぎて眠るヒマ無し。
先尾翼も推進式も震電も嫌いだし、公式サイトでメカデザイン見てもまったくそそられなかったにもかかわらず、いざ見てみるとすごいすごい!と興奮しまくり。
飛び散る薬莢、ストールターン、雲、雨、海面上での戦闘はこれでもかといわんばかりの迫力。
二重反転プロペラ、脱出時のプロペラ離脱、戦闘開始前の増槽投下、爆撃手、機銃手の描写等々、空戦シーンはまんま戦争映画!
お尻の痛みを感じはじめる頃、物語は動き始めます。
このラストへ向けての展開が秀逸でした。
長台詞一発で謎が解ける快感。
ジグソーパズルのピースがひとりでにパチパチと音を立ててはまっていくような感じ。
もともと伏線回収がどうのなんてことは一切気にしないのですが、(だからこそ?)すごく気持ちがよかった。
彼らが暮らす世界、キルドレの意味。
すっと体温が下がって訪れる理解…たまりませんでした(鳥肌)
そしてこの台詞(伏せ字)
「いつも通る道だからって景色は同じじゃない。それだけではいけないのか」
ぼくにとって『スカイ・クロラ』はこの台詞がすべて。
正直、どう逆立ちしたって「娯楽作品」とは思えないのですが、ここでこの台詞を持ってくるなら「若者向け」なのは間違いないなと思いました。
「出口のない世界」「閉じこめられた人々」、なんて、使い古された手垢の付いたテーマだけれど「若者向け」なら当たり前。
ましてラストにこの台詞は直球ど真ん中ですもの。
もちろんかつての若者にも響く言葉であることは言うまでもありません。
もっとも、その場合、結論は逆になるでしょうけれど(笑)
「恋愛映画」とか「娯楽大作」みたいな話も聞いていたので少々不安もあったのですが、すばらしい青春映画として大いに楽しめました。
「ハト派ハードボイルド」や佐藤正午が好きな人ならきっと気に入るはず。
思い切って足を運んでよかった。
タバコが吸いたくなるのには困ったものの、音響がかなり凝っていたのでやっぱり劇場で正解。
鳥のさえずりが印象的でした。
帰り道、無性にボーリングがしたくなったのはヒミツです(笑)
※うっかり予告編を見たのは失敗でした。
せっかくの作品を台無しにしすぎ。
極力情報無しの状態で観ることをおすすめします。
「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」公式サイト