2008.09.07

『スカイ・クロラ』

ネット上で賛否両論分かれていたのに興味を覚えて、なんとなく見に行ってみました。

押井監督の作品は一通り見てますが、
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』『人狼 JIN-ROH』は好き。
『機動警察パトレイバー the Movie』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』はよくできてるなあとは思うけどあまり好きではない、くらいのスタンスです。
原作も未読。

でもなんかぴったりきそうな匂いがしたので劇場へ

結論:すばらしい青春映画でした。大当たり!


事前情報は一切頭に入れずに見たほうが楽しめる作品だと思うので、
未見の方は以下【ネタバレ注意】






迫力ある空戦シーン、美しい風景、で始まった後、淡々と続くドラマパート。
前半はまあ普通。
眠りこみはしなかったけれど、眠くなる人が出るのもわかるおとなしい展開。
ただ、空戦シーンや航空機に関するディテールの描写、演出がすばらしすぎて眠るヒマ無し。
先尾翼も推進式も震電も嫌いだし、公式サイトでメカデザイン見てもまったくそそられなかったにもかかわらず、いざ見てみるとすごいすごい!と興奮しまくり。
飛び散る薬莢、ストールターン、雲、雨、海面上での戦闘はこれでもかといわんばかりの迫力。
二重反転プロペラ、脱出時のプロペラ離脱、戦闘開始前の増槽投下、爆撃手、機銃手の描写等々、空戦シーンはまんま戦争映画!


お尻の痛みを感じはじめる頃、物語は動き始めます。
このラストへ向けての展開が秀逸でした。
長台詞一発で謎が解ける快感。
ジグソーパズルのピースがひとりでにパチパチと音を立ててはまっていくような感じ。
もともと伏線回収がどうのなんてことは一切気にしないのですが、(だからこそ?)すごく気持ちがよかった。
彼らが暮らす世界、キルドレの意味。
すっと体温が下がって訪れる理解…たまりませんでした(鳥肌)

そしてこの台詞(伏せ字)

いつも通る道だからって景色は同じじゃない。それだけではいけないのか


ぼくにとって『スカイ・クロラ』はこの台詞がすべて。
正直、どう逆立ちしたって「娯楽作品」とは思えないのですが、ここでこの台詞を持ってくるなら「若者向け」なのは間違いないなと思いました。
「出口のない世界」「閉じこめられた人々」、なんて、使い古された手垢の付いたテーマだけれど「若者向け」なら当たり前。
ましてラストにこの台詞は直球ど真ん中ですもの。
もちろんかつての若者にも響く言葉であることは言うまでもありません。
もっとも、その場合、結論は逆になるでしょうけれど(笑)

「恋愛映画」とか「娯楽大作」みたいな話も聞いていたので少々不安もあったのですが、すばらしい青春映画として大いに楽しめました。
「ハト派ハードボイルド」佐藤正午が好きな人ならきっと気に入るはず。
思い切って足を運んでよかった。
タバコが吸いたくなるのには困ったものの、音響がかなり凝っていたのでやっぱり劇場で正解。
鳥のさえずりが印象的でした。

帰り道、無性にボーリングがしたくなったのはヒミツです(笑)


※うっかり予告編を見たのは失敗でした。
せっかくの作品を台無しにしすぎ。
極力情報無しの状態で観ることをおすすめします。


「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」公式サイト


スカイ・クロラ イノセン・テイセス1/72 トヨタ エンジン起動車 #MT17


書評サイト Loud Minority: ドン・ウィンズロウ 『ストリートキッズ』

書評サイト Loud Minority: 佐藤正午 『Y』

| | TrackBack (2)

2006.11.25

『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』

1994年、私は千歳基地を題材にした作品の事前準備のために千歳救難隊にロケハンに行ったのですが、そこから帰った直後、千歳救難隊のUH-60J救難ヘリコプターが遊楽部(ユーラップ)岳に墜落して、乗員5人が全員亡くなるという事故がありました。そしてあるニュースキャスターがこの事故を読み上げるときに「自衛隊は一体何をやっているのか」と吐き捨てるように言ったそうです。

実はこの時、奥尻島で発生した急患を直ちにヘリで搬送する必要があったにもかかわらず、悪天候のため道の防災ヘリも警察のヘリも消防のヘリも陸自のヘリも飛べなかった。そこで最後に航空自衛隊の救難隊に災害派遣が下令されたのです。

航空自衛隊の救難隊は他の組織に比べて機材や人員の能力が非常に高いため、他の組織では対処できないときに要請がかかる“最後の砦”みたいな部隊です。そして彼らは、自分たちが飛ばないと患者は死ぬしかないことがわかっていたからこそ、危険な天候にもかかわらず飛んだ。それなのに「自衛隊が事故を起こした」というだけで非難され、事実が伝わらないことに私は憤りを感じました。このようなことは阪神淡路大震災の時も含め、枚挙に暇がありません。

自衛隊のことをよくわかっていない人々からの一方的な非難にも、彼らは反論もせず黙々と自分たちのやるべきことをやっている。これがあまりにストイックすぎるので、どうにかしたいという個人的感情からこのアニメの企画が生まれたところもあります。ですが、やはり人を救う職業は物語になりますし、それと私が惚れた、彼らの人間的な姿を描きたかったというのが一番大きいですね。
よみがえる空 -RESCUE WINGS-プロデューサーのメッセージ"航空自衛隊と救難隊のことを知ってほしかった"


いきなり長々と引用しましたが、このメッセージに惹かれて見始めたのでどうしても。

新米パイロットを主人公に救難隊の過酷な任務を描く人間ドラマ。
戦闘シーン無し、萌え要素皆無の地味な話をよくぞここまで!と喝采したいすばらしい出来でした。
特に「第6話 Bright Side of Life(前編)」「第7話 Bright Side of Life(後編)」がよかった。
まさか「ひょっこりひょうたん島」がこんなに心に響くとは…。
ましてや歌いながら泣くことがあろうとは夢にも思いませんでした。
凹んだ時は「ひょうたん島」が定番になりそう(笑)

また、シリアスなドラマ作品とはいえ、CGを駆使した出動シーンは手に汗握る大迫力。
CGを使ったアニメは最近めずらしくありませんが、セル画部分とうまく馴染まず、違和感が強くてあまり成功しているとは思えないものが多いです。
しかし、この『よみがえる空』はまったく違和感がないばかりか、CGだからこそと思える迫力ある映像を実現しています。
才能ある人がやればちゃんとできるのね、と納得させられました。

最後にひとつ。
脇役にもかかわらず、主人公の恋人の勤める出版社の様子がしっかりした描写で驚きました。
苦しい経営状況や地道な営業活動など零細出版社の悲哀がきちんと丁寧に描かれています。

キャラ、ストーリー、映像、すべてが高次元、まったくけちのつけようがありません。
この作品と出会うこと、リアルタイムで見ることができて幸せです。
とにかく最高!
GJ!!


よみがえる空 -RESCUE WINGS- : @nifty BANDAI CHANNEL/バンダイチャンネル

よみがえる空 -RESCUE WINGS- 公式サイト
よみがえる空 -RESCUE WINGS- - Wikipedia

よみがえる空 -RESCUE WINGS- mission 1よみがえる空-RESCUE WINGS-mission 2よみがえる空-RESCUE WINGS-mission 3よみがえる空-RESCUE WINGS-mission 4よみがえる空-RESCUE WINGS-mission 5よみがえる空-RESCUE WINGS-mission 6よみがえる空-RESCUE WINGS-SPECIAL 特別限定版

| | TrackBack (0)

2006.09.03

「ツンデレって何?」と聞かれたら…

「ツンデレって何?」と聞かれた時にうまく説明できなくてもどかしい思いをしていたのですが、これはいいかも。

なつみかん。 | ツンデレが誤解されている

ツン ⇒ デレ

ではなく

ツン(デレ)


特に秀逸なのがこの表記。
すばらしい~!(拍手)

ツンデレ - Wikipedia

| | TrackBack (0)

2006.08.25

『Solty Rei』(ソルティレイ)

「娘なら、親の言うことを聞け!」
Solty Rei(ソルティレイ)Last Episode 「これから」

今度生まれてくる時はレプリカントになりたい、
レプリカント>サイボーグ>>越えられない壁>>生身
くらいに思ってる人造人間フェチなので、機械少女に惹かれて見始めました。

「…萌えアトム?」てのが第一印象。
コスプレイヤーにケンカ売ってますね?て髪型の主人公、機械少女ソルティと、見た目ハードボイルド、声も渋~いおっさん、行方不明の娘を捜し続ける賞金稼ぎロイの2人が偶然出会い、ぎくしゃくと不器用に、でも少しずつ距離を縮めていく…のが前半。
サプライズの後、秘められた陰謀が明らかになって怒濤の展開となる後半。
正直どっちも入り込めず、惰性で観てました。
前半はスローテンポすぎるし、後半は勢いよすぎて堤防決壊気味。
「なんだかなぁ…」と思って迎えた最終回、大泣きしました…(恥)
「このラストのためならば、何だって耐えてみせるさ!」と仁王立ちで叫びそうなくらい、最終2話はやばかったです。

素晴らしい!
終わりよければすべてよし、とはまさにこのこと。
終盤の謎解きが少々暴走気味だったので、
「それだったらもうちょっと早くからやればいいのに…」とか、
「にもかかわらず、けっこう辻褄合わないところあったりして」とか、
ぶつぶつ言ってたのが全て吹き飛びました。
ラストはあまりにもすごすぎるので殿堂入りです。

一番好きなシーンは、
「久しぶりなのにご挨拶ね、パパ」
「お手伝いに来ましたよ、パパ」
「お前ら…パパはよせ」
「照れてる!」
「真っ赤です♪」

てところ。

もともと”父と子”な話には弱いのですが、まさか”ツンデレおっさん萌え”とは…(苦笑)
なんだかんだ言っても途中で投げ出さずに最後まで観てしまったのでクオリティは十分、機械少女好きもしくはツンデレおっさん好きな人はゼヒ!

GONZOの人気作「SoltyRei」全24話、動画を無料放送<パソコンテレビ GyaO [ギャオ]>9/1(金)正午まで
SoltyRei : BANDAI CHANNEL/バンダイチャンネル
SoltyRei : @nifty BANDAI CHANNEL/バンダイチャンネル
SoltyRei - Wikipedia

SoltyRei Vol.1 通常版SoltyRei Vol.2 通常版SoltyRei Vol.3 通常版SoltyRei Vol.4 通常版SoltyRei Vol.5 通常版SoltyRei Vol.6 通常版SoltyRei Vol.7 通常版SoltyRei Vol.8 通常版SoltyRei Vol.9 通常版SoltyRei Vol.10 通常版SoltyRei Vol.11 通常版SoltyRei Vol.12 通常版SoltyRei Vol.13 通常版

| | TrackBack (0)

2006.08.11

『時をかける少女』

と、いうわけでトキカケ、『時をかける少女』観てきました。

うむ!
ひさ~しぶりに劇場まで行ったわけですが、(さらにシネコンはウン年ぶり)
足を運んだ価値は十二分にあったと言えましょう!
面白かったです。
無人島に持っていきたい、
明日死ぬなら…とまではいかないけれど、
もう一度観たい!、DVD欲しぃぃ~レベル。
予告編を観た時も思ったことですが、昔のジブリ好きだった人にはもってこいな1本かと。

タイムリープの設定に穴があるような気がするとか、
パンチラがないのが不自然とか(笑)、
難癖つけようと思えばつけられようとも思いますが、
観てる間は全然そんなこと考えもしません。
多少テンポが悪いような気はするものの、
ちゃあんと最後まで楽しめます。
旧作ファンとか貞本ファンとか関係無しにしっかりモトが取れる秀作。
ヲタ向けの皮をかぶった?素晴らしい作品でした。

ただ、泣けるポイントはなかったかな。
そこはちょっと期待ハズレ。
これで泣ける人はおそらく、
青春時代によほど嫌な思い出がある人か、
とんでもなく素晴らしい思い出のある人じゃないかなあ…。
残念ながら、どちらにも当てはまりません(笑)

今、2回目観に行くか迷い中です。
とりあえず、まだ観てない方はお早めに。
リアルタイムで観とくと、後々自慢できそうなイイ映画ですよ。

時をかける少女(公式サイト)

| | TrackBack (0)